割引きとサービス


さて、まず最初に一つの例を出したいと思います。
家の近所のチェーン系の焼肉屋さんが行っていたキャンペーンを少し書き換えた物です。

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キャンペーン第一弾!
○月○日〜○月○日まで 5000円以上お食事の方、1000円引き

キャンペーン第二弾!
○月○日〜○月○日まで  5000円以上お食事の方、上カルビ(1人前)1800円プレゼント!!
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といった感じのものです。
さて、皆さんならどちらを選びます?

また、どちらのキャンペーンのほうがお店が損をしていると思います?

実はこれお店にとってはどちらを選ばれても変わらないんですよね。

キャンペーンの第一弾は5000円以上お食事の方に1000円の割引。
つまり、収入が1000円マイナスになります。

キャンペーン第二弾のほうは上カルビ1800円の減価を考えます。

これを読んでいる皆様はご商売をなさっているでしょうからお分かりになるでしょうが、おおよそ原価は55%~60%ですよね。
つまりこの場合の原価は990円(55%)〜1080円(60%)なので、やはり1000円程度のマイナスとなります。

この二つのキャンペーンがお店側からみると全く同じでも、お客様からみるとかなり印象が違いますよね。
タイトルにした「割引とサービス」というのは使い方を意識してはどうかという提案です。

デフレ時代なので、何でも『値引き』の方向に考えがちですが、そればかりが全てではないと言うことになります。

例えば、観光地の飲食店の場合、、、
ちょっと具体的に伊豆や、千葉、北海道等、海のそばの観光地にしましょう。

その観光地を訪れる人の心理を考えると、
海のそばの観光地を選ぶと言うことは、飲食店に寄せる期待としてもっとも高いものは
「海鮮物が目当てである」また、「産地なら安く食べられる」
つまり、『新鮮な海産物をお腹いっぱい食べたい』ということにもっとも期待を寄せていると考えられます。

ここで、この観光地にある飲食店A売上げ不振打開のために打つキャンペーン

(1)普段1000円で出しているお刺身盛り合わせを2割値引きにする。

(2)原価200円分刺身の量を増やす。
*通常売価1000円の刺身の原価率を50 %と考えた場合、単純計算で1.4倍のボリュームのものが出せることになる

のどちらが効果的でしょうか?

『お腹いっぱい』という部分を考えると、後者のほうが有利な気がします。

もちろんそのことをうたわなければいけません。
ここでPOPの出番ですね。

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キャンペーン!
「お刺身、料金そのまま、通常の1.4倍の量で提供中!」

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みたいな感じですかね。

豊かになったいまでも『大盛り』というのは与えるインパクトが違うと思います。
それだけでなにか満足した気持ちになります。

また、旅行から帰ってきて「いや〜食べきれないほど刺身が出てきてさ〜」と、同僚に吹聴し
「満足」を反芻(はんすう)する。

そうしたら、来年も再来年もその観光地に来てくれるかもしれませんね。
長い目でみても効果的だと思います。

実際、私の実家は海の近くの観光地なのですが、
長期休暇等に帰省すると、いつも行列が出来ているお店があります。

そのお店、やはりお刺身が大盛りなのです。観光客には大人気!
みんな満足そうな顔をして帰って行きます。

中にはブログを書く人もいるでしょうね。そういったブログを見て
他のお客様が訪れる。いい循環ができていますね。

さてさて、少し話がずれましたが、ここでもう一つ。

この観光地にある飲食店A、観光客がおとずれる週末は売上げがなんとかなるようになってきたが平日はからっきし、そこで、地元の人に平日来てもらおうとキャンペーンを打つ事にしました。キャンペーンの種類は先ほどと同じ

(1)普段1000円で出しているお刺身盛り合わせを2割値引きにする。

(2)原価200円分刺身の量を増やす。

のどちらが効果的でしょうか?

この場合は(1)のほうが効果的かもしれません。
観光客の心理を考えた時と同じように、地元の人の心理を考えると、

「産地に住んでいるので、お刺身にありがたみが薄い」

というのが考えられます。
刺身を大盛りにされてもそれほどうれしくはないかもしれません。
(但、若い人達だと別。年代も含めて考えるともう少し複雑になりますね)

POPも忘れずに

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キャンペーン!
「お刺身今なら20 %OFFで提供中」

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こんな感じでしょうか。

ちなみに、先ほど話題にだした私の実家にあるいつも行列が出来ているお店。
このお店は地元の人には人気がありません。
何人かに話を聞くと

「ただ、多いだけでおいしくない」

という意見が大半です。

まあ、確かに、実家のある地域では魚屋さんにあるお魚のほうがおいしいので、
舌が肥えているんでしょうね。

さらにもう一つ

(1)が効果的だと仮定して一つテクニックを使うというのはいかがでしょう?

「キャッシュバック」です。

飲食店で自分が食事をしたときの会計の時を思い出してください。
レジに表示される金額を見て”何も考えずに”支払いますよね?

そこで仮に200円引きになっていとしても『割引されて得した』感は少ないですよね。
お店側としては自分達の利益を削って割引しているのに、その印象が薄いのではむくわれませんよね?

少しでも印象を濃くするために
一回普通に会計します。そしてその後に、、、、

「お刺身を一つたのんで頂いたので、200円のキャッシュバックです。」

と現金を渡すのです。

なんかスゴク得した感じになりません?

また、『現金』というのもポイントです。

クーポン券を渡すところとかもありますし、それはそれでいいのですが、
やはり『現金』というのが効果が高いと思います。

クーポンだと受け取ったほうは心のどこかで『もう一度この店に来させる作戦だな』とか、『この店でしか使えないものをもらってもなあ』
とどこか冷めた目でみていると思います。

ところが、現金だと日本中どこでも使えます。
お客様の心理としてはクーポンをもらうより、『ああ、本当にお金をまけて(サービス)してくれたんだ』感が強いとおもいます。

でも、お刺身を頼んでもらわなければ意味がないわけで
定価で表示しているお刺身にどうして注意を向けさせるかと
すると、、、

この場合のPOPはこんな感じでしょうか?

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キャンペーン!
「お刺身を頼むとお帰りの時にサプライズが!!」

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もっと直接的に

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キャンペーン!
「お刺身を頼むとお帰りの時に200円キャッシュバック!!」
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でもいいかもしれませんね。

「割引とサービス」そして、『POP』
(何度も言うようで恐縮ですが、訴えなければ人には伝わりません)
をうまくつかって売上げアップをねらいましょう!

この記事を書いている時、イトーヨーカードー系列のアリオというお店がキャッシュバックを行っていました。
写真をとるのを忘れたのを悔やんでいます。

キャッシュバック用のレジにはレシートを片手に、お客様が行列を作っていました。
この記事で書いたようにお店側からみれば負担は変わらないのに、セールをするよりすごい効果的になっていますよね。

使い方が大事ということです。

たしかこの時はは5%~25%のキャッシュバックだったと思いましたが、
仮に同じ%をセールしますとやった場合、はたしてそれほど人がくるか?
40〜50%OFFが並ぶ昨今の店先でこの数字は弱いと思います。

仮説の一つとして、
一つは顧客が「セール」という表現にどこか飽きてきていると思います。
今は「セール」でも買ってもらえない時代ということです。

本来セールとは多少のイベント要素を含んでいたと思います。
物がない時代、また、物が買えない時代に

『普段高い物が安く買える』から集客になったわけです。

今のようにいつでもどこでもセールをやっているような状態だと、
顧客側の心理として、

「どこかで同じ物が安く売っているかもしれない」

という心理が働くのではないかというのと共に、
ユニクロをはじめ、サイゼリヤ、等、安価でも充分過ぎるレベルの商品を提供する企業が出始めた今、
(セレクトショップの物を着ればやはり違うと思う。噂のイタリア料理を食べればやはり違うと思う、しかし、「事足りる」レベルでは充分過ぎる。)

「今買わなくてもいいや、、、」
という心理が働いているのではないかと思われます。

実際、自分もそうで、店頭に行って商品を手に取るものの、
なぜかその先に進まない。そこで買わなければならない「決め手」がない。

では、なぜ、キャッシュバックだと集客できるのか?
そこは現金の持つ力ではないでしょうか?

手元にお金が戻ってきたときの実感。
これが今の顧客心理において「消費の背中を押す役割をしているのではないのでしょうか?」

例えとして家内を例にとりますと、
週末毎に車に乗って郊外の大型安売り店に行って数百円買い物が安くなったと喜んでいます。
しかし、そこまでのガソリン代、自分の時給を考えたら、正直安くない。かえって高いかもしれない。
それでも安くなったと喜ぶ。

どこかで、ゲーム感覚なのだと思います。
本当に困っている人の考え方ではありません。

不況不況といっているが、もっているお年寄りはかなりお金を持っているのは周知の通り、
また、30代40代でも年収500万円の夫婦が共働きしていたら、その家庭の年収は1000万になる。

※60代と30代〜40代
この年代を例にしたのは人口分布として今一番多い団塊世代と団塊ジュニアの部分だからです。

日本は大変だ大変だと言っているが、食べるものはあるし、携帯電話だって一人一台ある。
まだまだ裕福です。

どうやって「消費の背中を押すか」がこれからの商いのポイントになるかもしれません。

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