*お急ぎの方は、色の部分だけ読んでも意味が通じるようになっています。
やっぱり肉は”内蔵(モツ)”だ。
居酒屋の定番メニューである”モツ煮込み”。 大根やコンニャクと合わせミソで仕上げたこの味は何とも言えず、どこへ行ってももあれば必ず頼む定番メニューだ。
何かのテレビで見たのだが内臓の処理はとにかく手間が掛かるらしい。煮込んだり、洗ったり、それはそれは大変そうだった。 しかし、手間をかけられた分、内臓はどんな高級肉にも負けない味わいを安価で体現してくれる。ステキだ。
このモツ煮込みを丼に盛った熱々のご飯の上にかけたら、ミソの味がご飯に浸透し、かなりおいしい。
十四・五年前に池袋のJRの地下にあった、昔ながらの食券を買って食べる食堂で”スタミナ丼”と言う名で販売されていたが、時代の流れか、十年程前から全く見かけなくなってしまった。 確かに、野卑な感じは否めない。味噌仕立てだと、おみそ汁をご飯にかける猫飯のニュアンスが無くは無い。
お味噌汁をご飯にかける行為だけは、いいところのお坊ちゃんでなくても、たしなめられる行為だろう。商売屋の家で育った自分でさえ、どちらかというとたしなめられた記憶が残る。色彩的にもそれほどキレイとは言い難いから商品映えもしない。
しかし、味はいいのだから、見てくれや体裁ばかりでなく、本質的なところを追求したお店はどこかにないものかと思っていたら、ある雑誌の片隅で見つけ、喜び勇んでその場所に出向いた。
− さすが食の聖地である。
日比谷線 築地駅、1番出口を出て真っ直ぐ歩いていく。信号を一つ渡ると自動的に築地場外市場に入る。まぐろ丼やラーメン、軒を連ねるおいしそうな飲食店を横目にさらに真っ直ぐ30mほど行くと目指す”きつねや”はある。
間口一間(約1.8m)、奥行きも同じか、それより短い位しかないお店、、、というかキッチン。 そう、お店のスペースは全てキッチンになっている。
じゃあ、どこで食べるかというと、 そのキッチンの前面がカウンターになっていて、歩道にはみ出して椅子が三脚置いてある。そこに座って食べるか、そのカウンターから人が通るスペースを空けて、車道ギリギリ、やはり歩道の上に男性なら6人。女性だと8人ぐらいが囲める胸の高さほどのステンレスのシンプルな台が2つ置いてあるので、その台で立ち食いスタイルで食べる。
これは築地スタイルとでも言うべきか、ここに軒を連ねるお店のいくつかは同じスタイルを取っている。
この日、12:10分頃築地についた。お昼時の築地場外にあふれる様々ないい匂いに混ざって甘辛い匂いが漂う。お昼休み真っ最中のこの時間、お店の前には準備中の札。なぜ?と思ったら、なにやら旦那さんが到着していないので、出せないとの事だった。
あとで間違いだと気付かされるが、この瞬間は『ただ盛りつけるだけなんだから、奥さんがやればいいのに、、』と、正直思った。
まあ、ここまで来てあきらめるのもイヤだったのでお店の前で待っていると、あれよ、あれよという間に長蛇の列。
しばらくして、旦那さんが到着した。
ずっと謝りっぱなしだった奥さんの表情が安堵する。
旦那さんは明日用なのか仕込をしてきた素材を店の中に素早く入れると、恐縮して、謝りながらカウンターの中に入る。カウンターの真ん中にあるモツ鍋の味見を数度繰り返し、奥さんに目配せをした。
奥さんが注文を聞いてきた。
このお店のメニューは基本的にスタミナ丼(これがモツ煮込み丼)と牛丼しかない。サイドメニューとして、それぞれを分離したモツ煮込み(単品)、肉豆腐、ライス。それと、焼き豆腐、お新香、ビールなどがある。モツ煮込みや肉豆腐は単品では頼めない。丼にするか、ご飯と一緒に、もしくはビールと一緒に頼まなければならない。
もちろんスタミナ丼を頼み、先にお会計を済ませ三席しかないカウンターの真ん中に座る。
ご主人はまるで宝物でも運ぶように丁寧にご飯の上にモツを盛りつける。モツが山になるぐらいまで盛ると、その上にたっぷりと長ネギを載せ、奥さんの方に渡す。奥さんはさっと丼の周りを拭き、目の前に差し出す。
ご主人の盛りつけの姿勢と言い、目の前にいるにもかかわらず、直接出さず奥さんに一度手渡す姿といい、最初に奥さん一人では出さなかった理由がなんとなく解った。お互いを尊重しているのだ。二人揃わないとダメなのだ。何か心暖かいものを感じる。これが家族経営のいいところだな〜。全てを効率第一主義で考えてしまう自分のほうが、ちょっと毒されてる。心が貧しいなあ、、反省。
まあ、実際は全然違って、いつもの勝手な思いこみかもしれないけど(笑)
ともあれ、早速山と積まれたモツを一口。
”おいしい”
モツの処理が上手。臭みがない。モツ独特の香りはちゃんと残しつつ、脂分もキッチリとある。でもくどくはない。
モツは四種類ほど部位が入っているようで、それが違う食感と味わいを醸し出している。ある部位は脂がのっていて、ある部位はサッパリしていて、いろいろと楽しめる。モツ以外はコンニャクのみ。
味噌はミルクチョコレート色をした赤みそを中心とした甘辛の味。すこし濃いめの味付けはここが魚河岸だからか?
次にご飯と一緒に食べる。
これまたおいしい。 ご飯に絡まった味噌の味が何とも言えない!
やっぱり丼はこれがいい!丼文化バンザイ!!
しかしここの丼、本当にたっぷりと盛られていて食べても食べても一向に減らない感じすら覚える。
さすが魚河岸と言うべきか。河岸の男はこれぐらいペロリと食べるのだろう。
後から来た四十代ぐらいの女性はビールと煮込みを頼んでいた。
真っ昼間からビールを飲めるあたりから察するに河岸の関係者か?
すっごいおいしそう。絶対ビールにも合うよな〜。
ご主人は絶えず煮込みの味をチェックしている。この姿勢もステキ。
やっとの思いで食べ終え「ごちそうさま」の声と共に立ち上がると、ご主人が「お待たせして申し訳ございませんでした。」と言う。ついで間髪入れずに奥さんも同じ事を言う。
気持ちがいい接客だ。
平日とは言え、昼下がりの築地場外は活気があって楽しいです。
築地見学も兼ねてぜひ一度どうぞ! オススメです。
スタミナ丼 750円
ホームページ↓
http://www.enjoytokyo.jp/OD003Detail.html?ODEKAKE_ID=&SPOT_ID=l_00002692
(2006.04.03)
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