POP -たかがPOPされどPOP-
よく、店内にPOP(ポップ)を置きましょうと提案すると、お年を召した家族経営店の店主やその息子さん達から
「うちはお客さんが聞いてくるからそんなこと書く必要ないよ」と言う言葉を聞きます。
大抵の場合はこう聞き返します。
「それは50才や、60才ぐらいの方ではないですか?」
そうすると、店主の方達は(なぜわかる?そういえばそうだ)と行った感じで目を丸くしてうなずきます。
答えは簡単です。年代によって考え方はまるで違うのです。
お客様が購入前に必ずする事ってなんでしょう?
答えは『納得』です。
『納得』したから商品を手に取るわけです。
では、どうやったら『納得』すると思いますか?
たとえば『パン屋』を例にすると、すごいお腹が減っている人だったら、お腹を満たすのが最優先だから、お腹が満たせれる物であると解れば『納得』しますよね。
でも、この飽食の時代、そんなお客様はなかなかいませんよね。
お腹を満たす事と同時に、今自分が食べたい物と一致して、『満足するであろう』と思った場合に『納得』をすると思います。
過去にお買い物をした事がある人は、『記憶』という『情報』を持っています。
このパンが美味しかった、このパンが好みに合わなかった等々、、、、
その『情報』を基にパンを買います。
でも、初めてのお客様や、初めて食べるパンはこの『情報』を持ってません。
少なくともパン屋に入ってきたわけですから、パンを食べたいと何となく思っていることは間違い無いわけです。
ここでお客様が『納得』するための行動を取るわけですが、50代、60代はまず、目が見えにくくなってくるので、その関係から、POPを置いても見ません。読むのがストレスになるんですね。だから、『聞いて確認する』という行為が多くなります。
さらに『そういう買い物のスタイル』店主と会話、コミュニケーションをとりながら買い物をするという時代に育った関係上、そのスタイルが好きなのでそうなります。
しかし、その下の30代、40代となると、まだ、目はそこそこ見えますし、物が溢れ始めた頃に生まれた世代です。
また、この年代は『損をしたくない』っていう気持ちが強いです。
レストランに行くのも『食べログ』で調べてから行くし、旅行に行く場合も、家電を買う場合も、クチコミを食い入るように見てから決定する。
さらに、スーパーやコンビニで育った世代っていうのもありますが、基本的に店主に聞いてコミュニケーションを楽しむと言った経験を喜ぶタイプではありません。
みなさんのお客様で30代40代ぐらいの人を思い出してみて下さい。
積極的に話しかけてきますか?
それとも話しかけないで欲しいという雰囲気を出している感じですか?
たぶん、後者だと思います。
そんな『聞かない』タイプの人間にもっとも有効な店頭の販促方法はPOPです。
大手はこういうところもきっちり抑えています。
セブンイレブンは、棚のポップの表面はその商品を勧める広告ですが、裏面は『●●はこの裏にあります。』になっています。
それ以外にもおもちゃを販売するトイザらスはレジの周りに
『買い忘れはありませんか、お買い求めの品に電池は入っていますか?』
のPOPを置いています。デニーズとかはテーブルに据え置きの小さいサイズのデザートのメニューを置いて、メインのメニューを下げた後の追加注文を促す方法をやってますし、ガストはテーブルに直にデザートやサイドメニューのシール、吉野家もカウンターにサラダやセットメニューのシールとかを貼ってあります。
『いいものを作ればいつか解ってもらえる』の時に話しましたが、お客様が思い出す瞬間の一番は『目』にした時。
大手は今お話ししたとおり、目にする機会をとにかく増やそうとしています。
ただでさえ不利な小売店が、POPという自分達も出来ることで大手以下の事をやっていたら、、、言わずもがなですね。
ここで『納得』しなかった場合、味の『記憶』を持っているコンビニのパンを選ばれてしまうかもしれません。
お客様って、お店の中に入ってきてもらうのが一番大変。
その一番大変なところをクリアしたのに、こちらが『情報』を渡すのを手を抜いて出て行かれたらこれほど勿体ない事はありません。
たかがPOPと思うかもしれませんが、第二次ベビーブームの時期に生まれた30代、40代のお客様は大きなマーケットです。
そこを逃しているとすると、とても勿体ない話です。
『お客様を細分化して考える』ということは大事なことです。
年代、性別、など、、、
そして、それに応じた販売促進方法を考えることが大事です。